今、モチベーションを考える!

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための行動自粛ムードが高まり、ついに演奏会や発表会が中止、延期されるという事態にまで発展してしまいました。

私の周りでは、3月に予定していた事務所主催の発表会が延期となったり、演奏会に向けた練習がしばらくお休みとなったり、その他、音楽活動をしている方々から「中止」や「延期」といった声が届いてきています。

今回のお話は、どちらかというと、生徒やその親御様、それから音楽の先生に向けた内容ですが、趣味で音楽をされている愛好家の皆様が、今回のような中止や延期を受けて、どのようにモチベーションと向き合えばいいかを考えてみます。

わたしの経験

「演奏会します」と告知したものを中止するということは、本来ありえない事ですが、私も今まで何度かそのようなことを経験しました。

最近では、指揮を依頼されていた演奏会で、諸事情により、演奏会自体が中止になってしまったり。

いまだに覚えがあるのは、高校3年生の時ですが、吹奏楽コンクールが、高校野球の甲子園1回戦の試合日と重なり、学校側から甲子園での応援を優先するように言われ、高校生活最後のコンクールに参加が叶わなかったということもありました。ちなみに1回戦で負け(^^;;

もう20年以上も前のことですが、あの日の喪失感は今でも心に残っていて、それだけ演奏を行えないということは、音楽をしている方々にとって、少なからずショックなことなのだと感じます。

それは多感な時期のお子様なら尚更のこととも思いますし、もしかしたら、今回中止になった発表会が受験前最後の発表会だった……という方もいるかもしれません。

心のケアを大切に

発表会のために、何時間、中には何十時間と時間をかけて練習してきた子もいます。それがいきなり無くなってしまうのですから、その衝撃はたいへんなものです。ですから、今こそ周りの大人達、先生や、親御様による心のケアが大切だと感じます。

具体的には、生徒や、お子様の話をよく聞いてあげたり、いま何を求めているのかをちょっとだけ感じ取ってあげたり、といったところでしょうか。

私が心がけているのは、生徒と同じ目線に立って、想いを共感するということです。

……できてるかどうかはともかく(^^;;
(自分のことなのでよくわからん)

たとえば、生徒の中には自分の意見や思ったことをしっかり話せる子もいますが、なかなか言い出せない子もいますので、生徒に合わせて、私から言葉を投げかけたり、またはそっと見守るようにしたり、でしょうか。

ともかく、生徒の気持ちにいかに近づけるかを考えて接しています。

音楽は一生ものの宝

日頃からお話しするようにしていることですが……例えばピアノは、日本では子供の習い事として定着しすぎているところがあり、「小学校を卒業したら辞める」などの声がよく聞かれます。

しかしながら、楽器演奏は本来、一生かけて付き合うものです。

歴史的にみると、18世紀中頃のヨーロッパでは、大人になった(なってきた)若者が大人の嗜みとして、楽器演奏をするようになりました。

今でいうと、大学で第2外国語を学ぶような感覚で、やはりこれが一番自然な姿のように感じます。

もちろん、今回のような不測の事態や受験などでお休みする期間もあるでしょうけれど、ぜひとも「これが最後」と決めることなく、のんびり気長に、一生ものの宝として音楽を楽しんで頂きたいと思います。

もう弾きたくないと思ったら

発表会が延期になると、たとえそれが「中止」でなくても、なんとなくもう弾きたくないと思ってしまうものです。

せっかく練習してきたのだから、できるだけ弾ける状態を保ちたいものですが、そうは言っても、今まで練習してきた演奏のレベルを落とさないようにするのはとても大変なことで、ましてやいつ発表会があるかどうか分からない状況でしたら、なおさらです。

そんな時の私のやり方はというと、新しい曲に挑戦してみる、または、以前弾いたことのある曲をもう一度弾いてみよう、と勧めています。

特に、この「以前弾いたことのある曲をもう一度」というのは、とても生徒のチカラがつくような気がしています。簡単な曲でも改めて取り組んでみると、今までとは違う発見があったりするものです。

以前であれば思い付かなかった表現方法が見つかったり、自分の技術が上達していることを実感できると、音楽の楽しさを改めて感じることができ、モチベーションも少しずつ戻ってくるのではないでしょうか。

練習のための衛生管理

ついでに楽器練習における手洗いについて。

たとえば管楽器は、口で「ぷ〜〜」って……息を使って演奏するので、おそらく楽器の掃除の仕方は早い段階で教わることと思います。また弦楽器でも、「大事に良く拭いてあげましょうね」と教わります。

ですが、意外とピアノって、あまりそういった事は教わらない気がします。(私は教えますが)
一番大事なことですが、練習をするほど鍵盤周りは汚れてしまうものなので、練習前、練習後の手洗いは、しっかり行いましょう。

また、鍵盤周りの汚れについては、練習後に軽くピアノクロスで拭くだけでも効果がありますが、汚れが気になるようなら、ピアノキークリーナーというのが市販されています。

白鍵盤専用ですので黒鍵に付かないように使います。鍵盤素材によってはキークリーナーが使用できない鍵盤もありますから、事前に、ピアノの先生や調律師の方に相談してから使うようにしましょう。

まとめ

冒頭にも書いたとおり、発表会の延期や、生徒のレッスンがお休みになったことで、私も今はひどく落ち込んでいます。

ですが、今は皆でこの困難を乗り越えるとき。せっかく家にいられる時間がとれたので、新曲を考えたり、頂いている編曲を仕上げたり、前向きにこの時間を過ごしたいと思います。

生徒の皆さん、親御様も落ち着かない日々を過ごされていると思いますが、今を乗り越えて、無事にまたお会いできますことを楽しみにしています。

2020.3.Tokyo.
作曲家/ピアノ講師
小林 樹(@hikarunoatorie)

当サイトについて

音楽の世界には「教科書には書かれていない」「音楽大学でも教えていない」ことがたくさんあります。これらを知ることで音楽人生がより豊かになっていきますし、音楽に関わる多くの方に知ってほしいことでもあります。

今回のお話では、18世紀中頃のヨーロッパにおいて、大人の嗜みとして楽器が演奏されていたという歴史的背景に一言触れました。記事では全てを書き切れないのですが、上記で述べた「教科書には書かれていない」ことを少しでも紹介できればと思ったからです。

ところが、私たちの住む日本の音楽教育の場では、こうした「教科書には書かれていない」ことを教えることは二の次とされる傾向があります。本当に残念です。

だからこそ、私のレッスンでは「教科書には書かれていない」ことを、できる限り生徒さんに伝えています。

音楽への理解をより深めたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、体験レッスン(無料)をお試しください。

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