生徒からクレッシェンド記号とcresc.の違いについて聞かれました。
楽譜に書かれる音楽用語のおもしろいところに、イタリア語の「字」で書かれているものと「記号」で書かれているものがあります。
もちろん自由に考えて演奏することが最終的な目標ですが、今日はクラシックの伝統的な考え方を少しお話してみようと思います。
伝統的な考え方
「言葉よりも記号の方がエネルギーが強い」と言うのが、クラシックの伝統的な考え方として、脈々と受け継がれてきていることのようです。
私も、作曲の師匠から教わったことです。
私の曲の場合もやはり、この音からしっかりクレッシェンドしてほしいときは記号を使いますし、この辺りからクレッシェンドをしてほしい場合はcresc.としています。
しかし正解ではない
伝統的な考え方の話をしておいてなんですが「これだけが正解ではない」ことを忘れないで頂きたい。何故かと言うと……
もしかしたら、この辺りからクレッシェンド~のときにcresc.を書く作曲家がいないとも限りません。
さらに、私自身もそうですが、リハーサルのとき、本来cresc.と書くべきところに時間を惜しんで
次のように
メモのように書く場合があります。
そのまま出版に回れば間違いなく
と印刷されてしまうでしょう。
(私は多分直しますが……たぶん)
そう、結局のところ楽譜はメモであって、どちらも正しいのかもしれません。まさに正解のないクラシック音楽の素晴らしき世界!
そんなことに思いを馳せ練習に励んでいますと、どうでしょう?今日の練習が少しだけ楽しくなりませんでしょうか?
作曲家によって色々な違いがある同じような事例としまして、シューベルトのアクセントとディミヌエンドの違いについてはまた改めて。
少しずつ冬の気配、冷え込んでまいりました。風邪などひかれませんよう頑張ってまいりましょう。
2017.11. Tokyo.