先日作曲したオーケストラ楽曲「アリエッタ賛歌」のリハーサルの時に、ファゴット奏者の方から、たいへん興味深く、面白い話を伺うことができたので、そのお話を少しばかり。
「アリエッタ賛歌」初演ノートはこちら
追記:2018.9.1
YouTubeで初演の模様をアップしました。
ベートーヴェンの第九と共に初演を迎える事ができたこの幸...
画像のような楽譜を渡したところ
「このコントラファゴットと同じ音の箇所の音がうるさい」
とのこと。
コントラファゴットは1オクターヴ低く音が出るので、付点2分音符「H」はファゴットの低音の「H」の音と同じ音がするのですね。
1秒にも満たない一瞬の事なので、聴衆として聴いている限り気がつかないようなところです。
実際、言われるまで気が付かなかったのです(^^;;
最終的には、私がファゴットの青線の箇所を1オクターヴ書き間違えていたことに気がつき、直すに至ったのですが……。
なるほど、考えても見れば
低音で、楽器の音色も近く、特に2nd.ファゴットとコントラファゴットは席が隣になるので、奏者からすればうるさく感じてしまったのです。
この繊細なところは本当に楽しい。
オーケストレーションの醍醐味です!
書き間違えて良かった、とまでは言いませんが、このような機会でもなければ知ることができなかった奏者の意見は、たいへん貴重で嬉しい経験となりました。
2018.5. Tokyo.
コメント
一点補足を。
同じ音で重ねるとうるさい、と言うのは事実ですが
さらに青線部の2ndFgは、下の音が最低音寸前のため、デクレシェンドできない、という事情があります。
原理的には円錐と円柱の差というか、物理の法則なので調べて頂くとして
チャイコフスキーの「悲愴」1楽章の展開部直前のFgソロを、慣習的にバスクラリネットで演奏することが多いのは、同じ理由です。
円錐管は最低音域に近づくに連れて、弱音が出なくなるのです。。
以前からオーボエやファゴットは強弱を付けるのが難しいなぁと感じていました。本記事の例の箇所は確かに低すぎて大きく鳴ってしまいますね。
チャイコフスキー「悲愴」の1楽章、ファゴットソロをバスクラリネットに変えるのは興味深いところです。
いつかファゴット奏者には舞台袖とかに移動して頂いて、ファゴットの音で試して見たい……ぜったいやらないと言われそうですが(^^;;